御巣鷹の尾根を訪ねて

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この記事を書いている8月12日は、今から31年前の1985年に群馬県の御巣鷹山JAL123便が墜落した日でもあります。

2016年で31年が経ちましたが、今なおこの時期になるとニュースでも取り上げられることが多いです。いつか一度はお参りに行きたいと思っていましたが、今年行ってみることにしました。

wikipediaを読めば一通りの事故の概要は知ることが出来るかと思われます。
参考 日本航空123便墜落事故

 

言うまでもなく、あくまでこの地は「慰霊の場所」です。これからお参りに行く予定がある方に、行き方などが参考になればと思いこの記事を書きます。

 

 

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御巣鷹山:慰霊の園、昇魂之碑への行き方・アクセス

御巣鷹山への慰霊に訪れる場合、「慰霊の園」と「昇魂之碑」の2つの場所があります。この2つの場所は17kmほど離れており、公共の交通機関もないため車でしか移動は難しいかと思います。

「慰霊の園」:追悼施設として墜落現場からは20km弱離れた場所に設けられており、鎮魂のための仏像、慰霊塔、資料館などがあります。車で直接行くことが可能です。

「昇魂之碑」:実際の墜落現場となる高天原山の尾根(通称「御巣鷹の尾根」)に設けられており、登山道入口の駐車場まで車で行き、そこからは1kmほど山道を歩くことになります。

 

慰霊の園は520名のご遭難者の霊を祀り、かつ慰めるための諸施設を設置するとともに、慰霊の園を交通安全祈願の場として広く一般に開放することにより、公共の福祉に寄与することを目的としております。
上野村 は険しい山々に囲まれ平坦な土地のほとんどない所ではありますが、慰霊の園の要旨に賛同した村民有志が3000坪の土地を供出し、そのうち1500坪を平地にして建設しました。

参考- http://www.geocities.jp/y190804/irei.html

 

下記ルートの概算距離・時間は全て「慰霊の園」までとなります。

お車で

関東方面から:
関越自動車道の下仁田ICで降り、そこから下道で45分ほど(約26km)。
関西方面から:
中央自動車道の長坂ICで降り、そこから下道で2時間ほど(約70km)。

首都圏近郊から車で向かう場合、「慰霊の園」と「昇魂之碑」の2つを訪れることは日帰りでも可能だと思いますが、時間的には少々タイトになります。私は当日の夜は前橋の方まで出て一泊して帰って来ました。

 

電車で

最寄り駅からのバスがないため、レンタカーかタクシーの併用となります。

レンタカー利用の場合:
上越新幹線・北陸新幹線「高崎駅」下車、レンタカーにて約90分(約53km)。

*高崎駅周辺レンタカー:ニッポンレンタカー、トヨタレンタカー、日産レンタカー、オリックスレンタカー、タイムズレンタカー
タクシー利用の場合:
上越新幹線・北陸新幹線「高崎駅」乗換え、上信電鉄「下仁田」駅下車。タクシーにて21km(約40分)。

*タクシー会社:上信ハイヤー Tel 0274-82-2429

* JR高崎線新町駅より慰霊の園近く(楢原停留所)まで路線バスが出ているものの、本数が限られていることと、2時間半ほどかかるので利用しづらいかと思われます。
参考 上野村WEBサイト
参考 日本中央バス 奥多野線時刻表

 

御巣鷹の尾根、訪問記

8月は御遺族の方も多く訪れるのではないかと思い、その前の7月の半ばに訪れました。

私は神奈川から車で慰霊の園→昇魂之碑の順に訪れることに。関越自動車道の下仁田ICで降り、そこから45分ほど。地図は下記の通り。

 

 

下仁田ICで降り、国道254号線を進んで行くと「道の駅しもにた」があります。お花屋さんがありますので、お供え用にお花を買いたい方はこちらで買うのが良いかと思います(クレジットカードも利用可)。また昼食を取ることも可能です。

 

 

この道の駅を過ぎると、254号線沿いにあるコンビニは約300m先に「ローソン下仁田馬山店」、その2km先にある「セブンイレブン下仁田町下仁田店」が道中最後のコンビニになりますので、ご入用の方は見逃さないように。

 

到着しました。

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慰霊塔には、最後まで身元確認のできなかった遺骨が骨つぼに納められて眠っています。

奇しくもこの日はJALグループの社員さんによって慰霊塔の清掃が行われていました。ですので今回は直接ここでお参りをすることは出来ませんでした。

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羽田からマイクロバスで来ているようでした。

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慰霊のための大仏も建立されています。

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入り口すぐ駐車場横には2015年に改装された管理棟があります。中には事故の資料などが展示されており、10分ほどのビデオなども見ることが出来ます。JALが管理をしているようです。

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館内は撮影禁止なのですが、入り口では関連本の購入も出来るようです。芳名帳もありました。

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ゆっくり見て回るとしても、慰霊の園トータルで1時間ほどでしょうか。慰霊の園を後にし、実際の墜落現場でもある昇魂之碑へ向かいます。

 

 

慰霊の園から昇魂之碑への行き方

昇魂之碑を訪れるには、登山口まで車で向かうことになります。

慰霊の園からは約17km、車で60分ほどかかります。長いトンネルを通り、到着手前は結構な山道となります。公共機関での移動手段はないので、車がないと移動は厳しいでしょう。

 

 

道中、標識も出ています。docomoであれば、登山口到着手前ぐらいまでは電波が入っていました。

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途中、旧の登山口も通ります。

以前はここまでしか車が入ることができず、ここから昇魂ノ碑まで約2kmの道のり、約1時間ほどの登山となっていたそうです。現在は旧登山口からの登山道は使用出来ません。ちなみにトイレがあり、こちらは利用できます。

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慰霊の園を出て約1時間、到着しました。駐車スペースは確か6台?。バス等大型車はスペースの都合上利用不可です。

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あいにくこの日は天気が悪く、ガスがかかりがちでした。

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登山口から昇魂之碑までは約800m。平地で考えると一見短いように思えますが、登山道ですので約30分ほどかかります。ここからは電灯、ライト等はないので、日が陰ってからの時間帯に訪れるのは難しいと思われます。

*8/12前後の慰霊の日はどのようにされているかは分かりません。

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斜度もそれなりにありますので、杖を借りることも出来ます。

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また数カ所、クマよけが設置されています。

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財団法人「慰霊の園」、JALグループの方々によって登山道は整備されているようですが、それでも厳しい山道であることには変わりありません。年々高齢化が進んでいる御遺族の方々を思うと、慰霊登山も決して容易ではなくなってきているかと思われます。

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スゲノ沢手前にある中間地点付近には山小屋があります。この辺りから道沿いに墓標が幾つか目に付きだします。

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歩くこと約30分、昇魂之碑へ着きました。用意していたお花はこちらに献花させていただきました。

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当時の上野村村長、黒澤丈夫氏の書とのこと。

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少し左にそれ上に登って行くと「遺品埋設の場所」が設けられています。

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慰霊碑には犠牲者全員の名前が刻まれています。

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更に少し登っていくと、当時の焼けた跡そのままと言われている木の幹があります。

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道の突き当たり付近まで来ると、高濱雅己機長、佐々木裕副機長、福田博機関士、3人の供養塔があります。

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この便には多くの著名人の方も乗っていました。

こちらは自転車実業団チームであるシマノレーシングの当時の監督、辻昌憲氏(享年39歳)の墓標。辻氏は中京大在籍中の1964年東京五輪のロードに出場した経歴を持ち、シマノレーシングの初代監督でもありました。ボトルが供えられています。

私も学生時代自転車部に所属していたのですが、シマノレーシングにはそんな悲しい歴史もあったのです。ロード乗りの方は是非下記の手記も目を通されることをお勧めします。

参考 日航機事故で他界された恩師、辻昌憲監督を偲ぶ 【大門監督手記】
参考 あれから25年(三浦恭資Blog)

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こちらは坂本九さん(本名:大島九さん)の墓標。今でもファンの方が訪れていることが伺えます。*7Dエリア

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今回の登山口からのルートです。衛星写真でルートを示すと、いかに山奥であるかが分かります。

 

登山口から昇魂ノ碑までGoogleストリートビューで

また、登山口から昇魂ノ碑までのルートはご遺族の方が中心の「8・12連絡会」と「Google」の協力で2013にストリートビューが見れるようになっています。

Google は東日本大震災や原爆ドームなどをストリートビューで撮影・公開を通じて、現代に歴史を継承する活動を行っています。この度、Google にご協力いただき、事故の教訓を幅広く伝えるために、御巣鷹山のストリートビューを公開する運びとなりました。

事故を知らない世代や海外の皆様にも、事故の教訓や空の安全など意識して頂けると幸いです。このような悲劇が二度と起こらないことを心より祈念いたします。(2013.12.9)

参考 8・12連絡会 御巣鷹山ストリートビュー

 

 

体力的に登山が厳しいという方にとっても画面を通じてですが、こうして現地の様子を見ることができるというのは、ITの力が一役買っていると言えるでしょう。

 

 

最後に

今回訪れてみて、事故の悲惨さや遺族の方の悲しみを改めて感じれたように思います。

今日、安全に空の旅が楽しめるのも、過去の多くの犠牲とそこからの教訓、安全対策が重ねられた上にあります。

 

坂本九さんの遺作となった「心の瞳」という曲があるのですが、舞台女優の濱田めぐみさんが歌った素晴らしいカバーがあります。

 

坂本九はこの曲が完成したとき、妻の柏木由紀子に「ねぇ、ユッコ、今度の曲絶対ユッコが気に入るよ!すごくいい曲なんだ、これは僕たちの歌だよ」と大喜びで譜面とテープを見せるなど、この曲を大いに気に入っていた。

さらに、この曲をコンサートのラストナンバーにしようと考えていたようで、スタッフだった芥川澄夫にも「これでコンサートのエンディング曲が出来た。あとはオープニング曲だ」と話していたことから、今後の音楽活動に気合いを入れていたことがわかる。

1985年8月12日(墜落事故当日)には、NHK505スタジオで収録された公開録音『歌謡スペシャル 秋一番!坂本九』において、羽田健太郎のピアノ伴奏(1番のみ)とともにこの曲が歌われた。しかしながら同日の墜落事故により、コンサートでの披露がついに実現することはなかった。
その後、九の葬儀において、音源での父の歌声をのせる形で、長女の大島花子がこの曲をピアノで演奏した。

・・・wikipedia

 

 

 

 

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コメント

  1. 渡邊 和男 より:

    拝見しました。 冒頭に書かれてありましたように「初めてお参りに行く方々への参考に、、、」 とても参考になりました。 微細に知りたいと思っていた事がしっかりその場所に書かれており、出かけようと思っている人の立場、ご遺族に立場、そして地域の方々への労いの念まで感じることができました。 計画を立ててみようと思います。 有難うございました感謝申し上げます。

    • 5star より:

      コメントありがとうございます。
      少しでも参考になったようでしたら幸いです。夏場の予定でしたらお身体お気を付け下さい。

  2. いのちの大切さを再確認 より:

    本日早朝に行って参りました。
    何せ台風の日で、雨は強くなかったのですが熊谷側から車で行ったのですが登山口駐車場迄の道で、大きな切り株屋30cmくらいの岩が道路に5ヶ所で散乱していて、車が通れないため、手でどかしながら進んで行きました。
    詳細に載せていただいてたので、迷うことなく行くことができました。
    ありがとうございます。

    皆さんは大雨の次の日は危険なので、運転に気をつけてくださいね。

    ※さすがに、この天気で朝5時〜8時ではどなたにも会いませんでした。

    • 5star より:

      コメントありがとうございます。
      あの山道はけっこう大きめの岩がゴロゴロ落ちていたりして注意が必要ですよね。さらに台風となると、尚一層ですね。
      ご苦労さまでした。

  3. 日航機遭難者慰霊碑(羽田空港) より:

    とても参考になりました。
    この日航機の御巣鷹山での墜落事故の慰霊碑は、とても整備されていますね。
    それに比べ、この事故の約3年前に羽田空港沖で発生した「日本航空350便羽田沖墜落事故」(片桐機長が羽田空港滑走路手前で逆噴射をして海に墜落した事故)の慰霊碑「日航機遭難者慰霊碑」は、人目を避けるように・隠されるように羽田空港の近くに設置されています。あたかも日本航空がこの事故を忘れさせようとしているかのように。
    次は、ぜひこの「日航機遭難者慰霊碑」を訪れられてはいかがでしょうか?

    (Google Mapでの場所)
    https://www.google.co.jp/maps/place/%E6%97%A5%E8%88%AA%E6%A9%9F%E7%BE%BD%E7%94%B0%E6%B2%96%E4%BA%8B%E6%95%85%E6%85%B0%E9%9C%8A%E7%A2%91/@35.5460875,139.7570874,260m/data=!3m1!1e3!4m5!3m4!1s0x60186145e41805e5:0xffa0eb6465eca5d6!8m2!3d35.5457101!4d139.7579391

  4. mesato より:

    昨日お参りさせていただきました、日頃の不摂生が祟り、広場まで50分も掛かりました
    当記事と関係者の方のお世話のお陰で、不安もなく安全にお参りでき、感謝しています
    昨年、安全啓発センターに見学に行き貴重な時間を過ごす事が出来ました、ただ、事故
    アニメーションでフゴイド・ダッチロールが発生後にも拘らず車輪が下りていないのです
    高濱機長等のせめてもの操縦なのにと思い、係員に注意はしましたが、是正されたかは疑問ですけど。

    • 5star より:

      険しい山道、お疲れ様でした。
      当方、安全啓発センターにはまだ行ったことがなく行きたいなと思っております。

  5. こじ より:

    はじめて慰霊登山をしてきましたが、とても参考になる記事で大助かりでした。

    事故から長い年月が経ち、慰霊登山が出来なくなってしまったご遺族が多くなってきたと聞いています。
    代わりと言ってはなんですが、当事者ではない私たちが慰霊登山をする事も、少なからず意味があるのかと思っています。

    ご遺族の方達の邪魔にならないようにひっそりと、今後も御巣鷹の尾根に慰霊に行きたいと感じています。

    • 5star より:

      コメントありがとうございます。少しでもお役に立てたのであれば幸いです。登山、お疲れ様でございました。

  6. 大久保泰夫 より:

     7月23日に慰霊登山に行きました。
    実は、私の弟が123便を予約していましたが仕事が長引きキャンセルしました。
    席は満席ということで、弟の代わりに搭乗されお亡くなりになった方がおられると思います。
    弟は18年前に、原因がわからず自殺してこの世を去りました。
    私もはや、68歳と気になっていたのもあり慰霊登山に参りましたが現場に着いて墓標を見て回っている内に涙があふれてきました。
    行ける内に行きたいと思っていたところに、ネットでこの投稿をみつけありがたいと思いました。
    ご遺族の皆様には、改めてお悔やみ申し上げます。
    朝の5時から登山したので、下山時には二人の方とお会いし静かに慰霊ができました。ありがとうございました。